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「宇宙の!」 ドッカーーン! 「何処かにいる!」 ドッカーーン! 「清くて!」 ドッカーーン! 「美しい!」 ドッカーーン! 「史上最強の!」 ドッカーーン 春の使い魔召還の儀式。 そこでルイズは何度も何度も失敗して爆発を巻き起こしていた。 「おいおい、どれだけ爆発を起こせば気が済むんだよ。」 「所詮、ゼロはゼロなんだから、いい加減に諦めろよ。」 キッ! 完全にルイズを見下したヤジに殺気を込めた視線を送る。 監督係の教師、コルベールは発言をした生徒の評価を下げる事を心の中で決めてる。 そしてすまなそうにルイズに話しかける。 「ミス・ヴァリエール。他の生徒の召還が残っていますので…」 「わかっています!でも…。いいえ、私は向こうでやっていますから、お願いします!」 ルイズのまさに『必死』と言って良い表情にコルベールも言葉が詰まる。 彼は知っている。ルイズの座学は非常に優秀である事を。 魔法理論において誰よりも努力をしている事を。 そして本来、魔法に失敗しても何も起こらない事を。 「わかりました。あなたが努力家である事は知ってますからね。」 「あ、有難う御座います!」 ルイズは盛大にコルベールへ頭を下げた後、向こうへ走って行った。 既に他の生徒全員が召還を終えていたが、ルイズだけは爆発を起こし続けていた。 当初は鬼気迫る表情で魔法を失敗し続けるルイズに思う所があったのか他の生徒もヤジを飛ばさず見ていた。 しかし、時間が経つ内に厭きだしてコルベールに部屋に戻って良いかどうか聞き出していた。 コルベールは当初、渋い顔をしたが、ルイズがいつまで経っても成功しそうに無い事から、認めるしか無いのであった。 一人、一人、この場から生徒がいなくなる事は気配でわかったが、それでもルイズは召還魔法を唱えては爆発を起こし続けていた。 日も暮れだした頃、その場に残っていたのはコルベール、キュルケ、タバサの三人だけであった。 ルイズの姿は酷いものであった。服はボロボロ、顔は埃まみれ、腕からはところどころ血を流している。 満身創痍としか言いようが無かった。 「どうして、どうしてなのよ!!」 悲痛な叫びと共に杖を振るう。 ドッカーーン! 巻き起こるは非情にも爆発。 「はは、ははははは」 ルイズは笑った。しかしその笑みは虚ろで、何の感情もこもっていなかった。 そしてルイズは何処か晴れ晴れしてた表情でコルベールに頭を下げて言った。 「コルベール先生、有り難う御座います。もう、いいです。」 「…そうかね、ご苦労だった。ミス・ヴァリエール。部屋で休みたまえ。」 「はいっ!」 言ってルイズは走り出した。両目いっぱいの涙を浮かべながら。 「ちょっと、ルイ…」 キュルケの言葉はコルベールによってさえぎられた。 タバサはそんな二人を興味深そうに見ている。 「先生…。」 「ミス・ツェルプストー、ミス・ヴァリエールの事を思うなら今は一人にしてあげましょう。」 真剣なコルベールの表情に軽く頬を染めて、うっとりしながらキュルケは頷く。 タバサはルイズを心配しながら,そんな友人に呆れていた。 ルイズが目を覚ますと真夜中であった。枕もシーツも涙で濡れている。 部屋に戻ってからずっと泣いた。 泣き疲れて眠ってしまい、夢の中でも泣いた。 くぅ~ どれだけ悲しくてもおなかは空く。 食堂は閉じているだろうが何かつまめる物は探せばあるかもしれない。 そう思い、ドアを開ける。 するとナプキンが掛けられ、中に何かが載せられているのがわかる大きめの皿とワインとグラスが置いたトレイがあった。 ナプキンを取ると冷めても食べられるサンドイッチが置いてあった。 誰かが…、キュルケあたりだろう…がメイドに頼んで置かせたのだろう。 トレイを持って部屋に戻り、ワインをグラスについでからもそもそとサンドイッチを食べ始める。 するとルイズの瞳にまた涙が溢れる。 感謝か情けなさか自分でもわからない。 ワインをかなり飲んだがまるで酔いがまわって来ない。 しばし呆然としながら,ルイズは窓から空を見上げる。 今も双月が静かに輝いている。 「この場所から見える月も、これが最後か…」 召還の儀式は進級の試験を兼ねているのだ。 それに失敗したとなれば名家の恥として実家に呼び戻され、一生閉じ込められる事になるだろう。 悔しい! ギュッと杖を握る。無駄だと分かっていながらも口語の呪文が口から零れる。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我が“運命”に従いし、“使い魔”を召還せよ。」 ゲートが、生まれた。 そりゃあもうあっさりと。 もともとゲートは開けますが何か?と言わんばかりである。 ルイズは呆然となる。 それはそうだ。今日何十回…いや、何百回と言える程唱えては失敗した魔法が成功したのだ。 驚かない方がどうかしている。 ゴクッ… ルイズは思わず息をのむ。 今このゲートの向こう側に自分の属性にあった動物か幻獣がいる筈である。 「な、なにが出てくるのかしら…。」 バサッバサッ ルイズの言葉に応えるように大きな羽の羽ばたきが聞こえてくる。 音の出どころは…ゲートだ。 そして、ゲートから現れたそれは高らかに笑いながら名乗った。 「ふはははは!」 「ふはははは!」 「私は!私は!」 「夜の帝王!!」 現れたそれを一言で言うならば…『かばこうもり』であった。 かばのように巨大な顔、それに対して体は余りに矮小であった。 いや、こうもりの体に比べればずっと大きいが、巨大な顔に対し不釣り合いな大きさであった。 ルイズは混乱の極みにあった。 召還に成功した事実による驚愕。 目の前にいる存在を今まで見た事が無い事。 それがなんと喋った事。 人間の言語を喋る動物は『韻獣』と呼ばれ、希少な存在として知られている。 更に言うなら目の前にいるかばこうもりは自分自身を『帝王』と言ったのだ。 そこまで自分を大きく言うには自信が無いと出来ない。 だが、そんな事よりも、ルイズは、深刻で、どうしても、聞かねばならない事があった。 「ねえ、あんた。自分の事を『夜の帝王』って名乗ったわよね。」 帝王は帝王らしく尊大に答えた。 「うむ。そのとおりだ。」 「ちなみに昼間は?」 やはり帝王は帝王らしく(以下省略)。 「寝てます。」 ツュドム!! 後日、ヴァリエール家に二通の手紙が届いた。 一通はルイズから二年生へ進級の知らせ。 もう一通は、トリステイン魔法学校からルイズによる女子寮半壊に対する請求書であったそうな。
https://w.atwiki.jp/zenzen53/pages/86.html
ダイ達との闘いに度々敗北し、「己の地位に執着しているような者が勝ちを掴めるはずがない」と悟ると肉体改造を行い、超魔生物と化した元魔族の元魔王。 宿敵であるダイを倒すことに、自らの価値を見出している。また闘いには卑怯な手段を取り入れず、武人として全力を尽くし、正面からぶつかっていくタイプ。 超魔生物化したことで肉体的に強化されたばかりでなく、宿敵であるダイたちを倒すという強い決意によって、それまでの精神的な脆さが克服された。 武器は「地獄の爪」に加えて、右腕に仕込んだ「覇者の剣」や腕に内蔵された武器刃が連なった鎖状の「地獄の鎖(ヘルズチェーン)」も振るう。また火炎・爆裂・閃熱呪文を極めている。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4273.html
前略 ちい姉様 マジカルメイドが暗躍したお陰で、無事…いや無事ではありませんが何とか使い魔を召喚することが出来ました。 ええ、出来たんです。 ですが……何というか人間の子供を呼び出してしまったんです。それも二人も。 『見た目』だけはとても美しい双子の少年と少女が使い魔となったんです。 そう、なったんですが……わたし、これからの学院生活がとても不安です。 ぶっちゃけ、家に帰ってもいいですか? いいですよね? 草々 ルイズの憂鬱(魔法少女ラジカルイズ~双子編~) 「ミス・ヴァリエール!」 ある日、教室に呼び出されたルイズは、渋る双子の使い魔をつれて約束した時間より少し早くやって来た。 教室に入るや否や待ち構えていた中年の女性教諭、シュヴルーズが怒鳴りあげたのだ。 「あの、ミセス・シュヴルーズ。 何か御用ですか?」 覇気もなく気だるげに答えるルイズにますますシュヴルーズは声を荒げる。 「何かじゃありません! ミス・ヴァリエール! あなたは使い魔にどういう教育をしているのですか!」 「はぁ、その、スミマセン」 ヒステリックな怒鳴り声に取り合えず謝罪の言葉を告げたルイズ。 どうやらまたこの双子が何かをやらかしたらしい。 今度は何だろうか。 またモンモランシーの使い魔の蛙に何かしたのか、でも蛙の御尻にストローさして空気を入れるなんて昨日やって怒られたばかりだ。 あるいはギーシュの使い魔のモグラの餌(ミミズ)に釣り針を仕掛けて釣り上げたことか、はたまた学院長の使い魔のネズミをまた罠にはめたのか。 思い当たる節が沢山ありすぎてよく分からない。 「錬金の授業で使う粘土に爆薬を仕掛けるなんて! こんな悪戯初めてです!」 ルイズは、『ああ、どんどん過激になっているなぁ』と思いながらもひたすら平謝りを繰り返す。 それにも拘らず、 の怒りはまだ収まらない。そう、 がルイズを呼び出すのは何も初めてというわけではない。 双子が悪戯を仕掛けるたびに、コルベールやギトー、オスマンにロングビル等、学院に努めている教職員から一通り注意を受けているのだ。 その度に彼女は下げたくもない頭を何度も下げたのだ。 「昨日も、ミスタ・コルベールの髪を全て燃やしたではないですか! いいですか! ちゃんと教育なさい!」 コルベールのあの可笑しな鬘はそういう理由だったのか。ルイズは心の中で納得すると再び頭を下げる。ちゃんと謝罪の意思をのせて。 「スミマセン。 ほら、あんた達もあやまんなさいよ!」 この日、同席した双子の頭を下げさせようとグイグイと押すが彼らはそれに反発するのだ。 そしてあろうことか、 「ばーか、はーげ、タコ坊主ー」 「タコなら海ん中でチューチュースミ吐けー」 暴言を吐くのだ。 ルイズの短い堪忍袋の緒は当然の如くブチキレた。 「ちゃんとあやまんなさいッ!」 怒りと共に振るわれた杖から奔るはずだった魔法。だが忘れてはならない。彼女が魔法をうまく使えないという事実を。 激しい爆発が教室中を蹂躙する。響き渡る4人の悲鳴。だが奇跡的に皆無傷だった。 そして当然のようにルイズは教室の清掃を命ぜられたのだが、双子はというと当然の如くその場から逃げ出したのだった。 拝啓 エレオノール姉様 わたしはちゃんと学院を卒業できるのでしょうか? とても不安です。 だからお願いします。家に逃げ帰っても怒らないで下さい。 敬具 数日後…。 ルイズが部屋で双子と何ともいえない時間過ごしているとを唐突に扉を叩く音が聞こえるではないか。 あまりにも激しく叩かれる扉。煩くて敵わないと扉を開けるとそこにはモンモランシーがに鬼気迫る雰囲気で仁王立ちをしている。 「少し時間いいかしら?」 そう言うとモンモランシーはルイズの返答を待たずして部屋にズカズカと入って来た。 用件をルイズが聞き出そうとする前に彼女は口を開いた。 「ルイズ、使い魔にどういう教育しているわけ? ギーシュがノイローゼになってるんだけど…どうしてくれるの」 モンモランシーの言葉にはてと首を傾げるルイズ。 その様子がモンモランシーを苛立たせる。 「ちょっと! しらばっくれる気?」 モンモランシーが言うには…… 学院某所。 その日、ギーシュは一人、使い魔のヴェルダンデに餌をやっていた。すると背後から不穏な影がするすると近づいてくるではないか。 音もなくギーシュの背後にピタリとくっつくと耳元で吐息を掛けるように双子の、少年のほうが声をかけた。 「ねぇギーシュさん。 遊ぼうよ」 「あひゃぁ!」 突然のことに飛び上がらんばかりの勢いで驚いたギーシュだったが、双子の姿を認めるとすぐさま使い魔を己が背に隠した。 「も、もうヴェルダンデをお前達の玩具にはさせないからな!」 おっかなびっくり双子に向かって啖呵を吐いた。だが双子はそんなことは気にも留めない。 今度は双子の少女のほうがギーシュの耳元で囁いた。 「何を言っているのかしら? 私達はギーシュさんと遊びたいの? ね、兄様」 「うん、姉様の言うとおりだからね、ギーシュさん」 使い魔を玩具にされないと分かって一瞬だけ安堵したギーシュ。だが疑問が一つ浮かぶ。 「僕と遊ぶって……何をするんだい?」 ギーシュの問いに双子は満面の笑みを浮かべて言い放った。 「んー、今日はお医者さんごっこでいいよね、姉様?」 「そうね。 せっかく本式の道具一式そろえたんだもの。 それにしましょう」 途轍もなく嫌な予感がするので回れ右をしてその場を立ち去ろうとしたギーシュだったが… 「こ、これからケティと遠乗りの約束が…」 そうは問屋が卸さない。少年がギーシュの服の襟をがっしりと掴んだ。ちなみにヴェルダンデはとっくに逃げていた。主を見捨てて……。 「姉様、きっと普通のお医者さんごっこが嫌なんだよ」 「まぁ兄様、本当かしら? だったら……」 ――大人のお医者さんごっこにしましょう―― そういってギーシュの眼前に出されたものは18歳未満の人には説明することが憚れる器具の数々。 「大人のお医者さんごっこー♪ 僕らのテクにかかればその愚息も昇天だよ?」 「さぁ、天使を呼んであげましょう……」 哀れ。 ギーシュはもはや逃げることなど出来ない。 「やめろ! 助けてケティ! モ、モンモランシーでもいいから!」 ああ、その悲痛な叫びは届かない……。 「い、いやぁぁぁぁ!」 そんな事があったらしい。 「あれ以来ギーシュはうわ言の様に『助けてケティ』って繰り返すのよ!」 ギリギリとモンモランシーの歯軋りが聞こえてくる。 「何で!? どんなプレイしたか知らないけど、何故助けを求めるのが私じゃないのよ! ふざけないでよね!」 私もあんな事ギーシュにしてみたかったのにと、興奮して怒鳴り散らすモンモランシーを尻目に、双子はというと……。 「弱いわね、兄様」 「そうだね、姉様。 この程度で泣いていたらこの先辛いことがイッパイ、イッパイあるよ」 シエスタから貰ったペロペロキャンディーなめながら、達観した様子で佇むのであった。 それがルイズの逆鱗に触れたのは当然である。 「あやまんなさいッ!」 ルイズは学んだ。怒りに我を忘れてはいけない。だから魔法は使わず杖で双子の頭を殴ったのだ。 うわぁーんと泣き声をあげる双子の姉兄。ルイズはきっと懲りずにまた何かやらかすだろうと、遠い目をして考えていた。 親愛なるワルド様へ この先の学院生活がとても不安です。比喩でも過剰表現でもありません。 例え中退してもわたしを貰ってくれますか? デルフリンガーに相談しても、 「剣であるオレにどうしろと?」 そんなことばかり言って取り合ってもらえません。 そんなルイズの神経をすり減らす双子の使い魔であったが、ルイズを癒してくれる時間があったのだ。 「寝顔は天使そのものね」 子供らしく可愛らしい寝顔、多くの人はそれに癒されるだろう。 剥製の作り方と銘打たれた本と囚われた梟と土竜の姿さえなければの話だが……。 エピローグ(?) 「ねー、ルイズさん」 「圧力釜どっかにないー?」 「あー…シエスタの所に行けばあるんじゃない?」 読書に勤しむルイズに話しかける双子。本から目を離すことなく投げやりに答える。 「はーい。じゃあ聞いてくるわ」 「ねぇ、アレ持った?」 一瞬のやり取り……これでルイズは察した。 「…石礫とか釘詰めたら爆殺するからね」 その言葉にブーブー文句を言ってくるが最早ルイズは気にしない。 前略 ちい姉様 色々あったけど最近慣れました。 家に帰らなくても恐らく大丈夫なはずだと思います。 いろいろあるけれど、わたしは元気です……多分。 草々
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4466.html
二人のルイズ 「なによ、これは……」 彼女にとって今日は記念すべき日になるはずだった。 自らの系統を見定め、より内容的に特化した二年への進級試験も兼ねた春の使い魔召喚の儀式。 何度も失敗し、今度こそは意を決して杖を振り下ろした先に現れたのがコレだった。 「なんだあれは!? 「まさかゼロのルイズが」 「信じられない」 周りの生徒たちが驚愕から喧々囂々の騒ぎを巻き起こす中、ルイズはまるで瀕死の魚のように口をパクパクさせることしかできなかった。 出来ればドラゴンやグリフォンのような幻獣であれば言うことはない、虎や獅子でも大歓迎だ、それが無理なら犬猫でも構わない、いやオールドオスマンのようにネズミでもしょうがないし、さっき頭上を飛んでいった雀でもこの際贅沢は言うまい。 そんな気持ちで挑んだサモンサーヴァントだからと言って、よもやこんなものが出てくるとはルイズは夢にも思わなかった。 それはまず巨大だった、ルイズのすぐ前の生徒が呼び出した風竜の幼生よりも尚大きい。いや大きさだけなら今年と言わずこれまでこの学院で呼び出された使い魔のなかでも最大の部類に入るに違いない。 次にぬめぬめしている、濡れ光る緑の皮膚は周囲の光を反射して微妙な光沢に照り輝いている。 最後にそれは不気味だった、足を全く動かすことなく地面をまるで滑るように動き回り、その巨大な瞳はピクリとも動くことはない。 だが結局のところ、その生物を表すにはただ一言で事足りる。 「なんで、こんなでっかい蛙が出てくるのよ……!」 そうルイズは蛙が苦手だった、もはやルイズ自身覚えていないが幼少の頃に刻まれたトラウマがぬるぬるべたべたした生物を忌避させるのだ。 しかしそんな自分に呼び出されたのは自身がもっとも苦手としている蛙。 それも超特大サイズ。 ルイズは泣き出したくなった、始祖ブリミルよ。私が何か貴方のお怒りに触れるようなことをしたのでしょうか? 貴方は私に貴族だと言うのに魔法の才能を与えなかったばかりか、私がもっとも嫌うものを終生のパートナーにせよと申すのですか? もし私の言葉が届くのなら…… 「もう一度、召喚をやり直させてください」 「駄目です、使い魔召喚の儀式は神聖なものですから」 ほとんど無意識から出たルイズの魂からの叫びは、すぐ隣に居た輝く教師に一言で切って捨てられた。それはそうだいちいち生徒が使い魔が気に入らないからと言って再召喚させていてはきりがないし、それにコルベールの目にはルイズがあたりを引いたように思えた。 なにしろこれほど巨大な蛙である、ルイズの学友が普通の手のひらに乗るような蛙を召喚したことも分かるように一目で見て桁外れの存在だと分かる。 コルベールは教師としてルイズに自らの才能に自信を持って欲しかった、多少本人が呼び出した使い魔を嫌っていようとこのご立派な使い魔は周囲の者たちの目にルイズが「ゼロ」でない証として映るだろう。 実際、普通のアマガエルを召喚したモンモラシ家の一人娘などはロビンと名づけた自分の使い魔とルイズが呼び出した蛙とを見比べて、嫉妬交じりの視線を送っている。 「分かりました……」 コルベールの言葉にルイズは諦めたように頭を垂れた、上目遣いに見上げればルイズの前で彼女の使い魔は候補は間抜けな面を晒している。 その間抜け面を見ているとだんだん憎らしくなってくる、コイツが出てきたばっかりにと言うどうしようもならない運命に対する憤りが現実の相手として現れたことで心のなかで形を成す。 「五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」 コルベールにレビテーションで浮かばせて貰いながら、ルイズははんばヤケクソな気持ちでその呪文を唱える。 新たなる運命の扉を開く、その呪文を。 「きゃっ!?」 「なんだっ、なにが……」 ――その場で何が起こったのか理解できた者はいなかった。 ルイズが巨大蛙に口付けし、その左手にルーンが刻まれた途端に巨大な蛙は猛烈な光と共に塵が砕けるように消えてしまったのだから。 光と塵の乱舞が収まった時、ヴェストリ広場に集まった生徒たちはその声を聞いた。 「守らなきゃ……」 それは涼やかで悲しげな、硝子で出来た鈴のような声だった。 ルイズを含めた全員は、その声に聞き覚えがあるような気がした。 「あの人が愛した世界を、守らなきゃ……」 そこには一人の少女が立っていた。 儚げな姿で、まるでレビテーションでも使っているように地面から僅かに浮きながら。 静かに、その場に佇んでいた。 ルイズは愕然とする。 着ている衣装こそ周辺の国々で見たこの無いものだが、少女の姿はあまりにも見慣れたものだったから。 見慣れたものでありすぎたから。 「あなた……誰…………?」 ルイズは、毎朝鏡のなかで出会うもう一人の自分に向かって問いかけた。 桃色の髪の少女は、僅かに笑って。 「わたしは――グロリア」 己に与えられた名を応えた。 それがゼロと馬鹿にされ続けてきた虚無の魔法使いと、朽ちて尚約束を守ろうと足掻いていた竜との出会いでした。 二人のルイズがこれからどのような物語を紡ぐのかは、我々には知ることは叶いません。 ならばせめて祈りましょう。 傷つき続けた彼女たちがもう二度と傷つくことの無いように。 惨禍に巻き込まれることがないように。 せめて栄光の賛歌〈グロリア〉を贈りましょう。 ――願わくば、ああ願わくば、その旅路の最果てが幸福なものでありますように スクラップドプリンセスから竜機神No7 グロリア を召喚。 戻る
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サモン・サーヴァントでルイズが召喚したのは・・・S&W-M29 フォーティーフォーマグナムだった ダーティー・ルイズ ルイズはそのマグナムと契約を交わし使い魔として持ち歩くが、ある日ギーシュと決闘をする事になる 44マグナムで7体のゴーレムを倒した(内2体はワンショット・ダブルダウン)ルイズは ギーシュにマグナムを向け「5発か・・・6発か・・・わたしも撃つのに夢中で覚えてないのよ・・・」 「・・・まいった・・・」 そんなこんなある日、タバサがワルド子爵に誘拐される事件が起きた ワルドはルイズを名指しし、トリステイン中に設置された遠見の鏡を通してルイズに要求を伝える 「走れや走れ・・・ルイズさん・・・」 結局、マグナムを奪われたルイズがパンツの中から出したナイフで刺され、ワルドは逮捕された その後、証拠不十分で釈放されたワルドがアルビオンの戦艦レキシントン号を乗っ取る事件が起きる 「アルビオン軍のみんな、今日は軍務を休んでみんなでアイスクリーム工場を見学に行くんだ」 レキシントンはワルドの脅迫により、トリステイン魔法学院の上空に向かう、ワルドは皆を歌わせた 「♪こ~げこ~こ~げよ~、ボートこ~げよ~ ランランランラントリステイン空爆♪」 そこへ現れたのはルイズ、レキシントンに飛び移り、ワルドを戦艦から引きずり出して人質を救出 逃げるワルドと追うルイズは風石鉱山にたどり着き、遂にルイズはワルドを44マグナムでブチ抜いた 池に浮かぶワルドの死体を背に、ルイズは五芒星のバッジを投げ捨てて歩き去った ----------------------------------------------- ダーティー・ルイズ2 トリステイン国内では連続した殺人事件が起きていた それらを実行していたのはレコンキスタと呼ばれる一味、法で裁けぬ悪を処刑する集団だった ルイズは彼らの行う処刑活動への勧誘を受けるが、「しまいにゃ芝生にクソした奴まで殺されるわ」と 断ったことがきっかけで彼らに命を狙われることになるが、彼らから風竜を奪ったルイズは反撃に転じる マグナムと風竜を武器にレコンキスタの暗殺集団を全滅させたルイズは処刑事件の捜査を指揮していた ワルド子爵へと報告するが、その暗殺集団の黒幕こそが彼だった、ルイズはマグナムを奪われる しかしルイズに暗殺事件の罪を押し付けるべく風竜で逃亡したワルドは、ルイズに風竜ごと爆殺される 「ガラにもないことやるからそうなるのよ・・・」 ----------------------------------------------- ダーティー・ルイズ3 ある事件のほとぼりを冷ますため、アンリエッタにより学院の人事課に送り込まれてクサっていたルイズは ワルド一味が学院を襲い、破壊の槍を盗み出した事を機に最前線に呼び戻された ルイズは新入生のベアトリスと共にワルド達の行方を追うが、彼らはチェルボーグの監獄跡を占拠する 血気盛んなベアトリスは監獄跡へと突入し、ワルド達によって惨殺されてしまう 「カタキを取ってやるわ・・・」 強力な軍用マジックアイテムで武装したワルドの手下はルイズのマグナムで次々と屠られ ついにルイズは奪い返した破壊の杖で、ワルドを木っ端微塵に撃ち飛ばした ----------------------------------------------- ダーティー・ルイズ4 学院を休学しトリステイン郊外に引っ越したルイズは、平賀才人という地球人を飼うことになった どこにでも小便をする馬鹿犬がきっかけで、ある隣人と仲良くなるが、ルイズとその隣人の周りで 殺人事件がおき始める 「泣けるわ・・・」 ルイズの隣人スカロンはかつてワルドとその手下達に辱めを受け、復讐のために殺人を重ねていた 手下が次々と殺されている事を知ったワルドはフーケを餌にスカロンを遊園地におびき出す ワルドに銃を向けられ絶対絶命のスカロン、そこへマグナムを下げたルイズが現れた ティファニアの召喚したもうひとつのマグナム・・・44オートマグが火を噴き、ワルドを葬った ----------------------------------------------- ダーティー・ルイズ5 舞台芝居の監督をするワルドは、自分の暴力的な演劇に迫力をつけるべく「殺人ゲーム」を始める 標的にされたルイズは自分の乗る風竜への放火や遠隔操作魔法による移動爆弾に命を狙われるが ルイズは殺人の興奮に狂ったワルドを船の上に追い詰め、竜撃ちの銛で貫いた
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キャラクター紹介 イメージAA / . . / .. . . . . / . / . .. . . \ . ヽ ヽ. / / . . ./ . \. . / . .{ l . . . . .. 、 . . . ヽ . }l . . . l l / . . / . . . . . . . X . . . ./l . .| . / . . 丶 . . . \. ヽ . . l . . l| . . . | | ハ . l . . . . . . . . | l \/ ! . .! . .! .ヽ . \ . ..} ヽ. ._ ヽ-‐| . . l| . . . ! | l l . . | . . . . . . . / l . .. l\|. . | . .l . .! .. . l. . . l イl . . | . . .| . . l| . . . l V l .! . | .i . . . . . . l ル≧ァz\l . . ', . . .jヽ. l∠j≦ .!. . ∧ . l . / ! . . . . ヽ ヒロインヒロイン /ヽ{ . .l .l . . . . . . . j彳 〃´¨ヾ\. . .ハ . . / ァ匕 j/ `ヾ`ミ<! .,' . . . lヽ . . . .. \ ヒロいーン! / . . .\i小 . . . . .l . l ヽ |l\__ /i`ヽ{ ヽ .. . 7´ |l \__ / i /ハ ./ . . . ,' . . \ . . . ... / . . . . . . . .\ l\ . .∨ 弋{ j.l j. / 代{ j ,' / j . . / . . . . . \ . .../ . . . . . . . . . . . . l `ヾハ vヘ三イソ '´ vヘ三イ/ / . . .∧ . . . . . . . \/ . . . . . . . . ./∨l . . . . ', '´ ``′ / . . ./ ヽ . . . . . . . . . . . . . . . . / l l . ヽ∧ ' ___ / . . . .l Y^ヽ . . . . . . . . . / i } . . ヽヘ ,,ィ´___ /`ヽ ,イ . . / . | / \ヽ . . . { ∨ . . .ヽ .\ 〃 } //. . ./ . . . l / ヾ . .} / . . . i . .ヽ>.、 ゞ _ノ イ . . . ,' . . . . .| } . j / . . . i . . . .} ヽ>`、 ー―‐ '´ィ< 〃 . . . ! . . . . . ! ./ . / ヽ / . . . . . l . . ./ \ \ ̄ / /{ . . . l . . . . . .ヽ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール LV1 称号:ゼロ 【Louise the Zero】 種族:ヒューマン ♀ 歳:16歳 身長 153cm 体重:?? スリーサイズはB76/W53/H75 ジョブ:メイジ サポジョブ:? 本作【!!ヒロイン!!】 時空と次元の交差により本来の使い魔ではなく、ブロントさんを召喚した張本人。 ブロントさんへの適応能力は高い。使える魔法は【爆発】のみだが、本編では色々と活躍している? アイデンティティとも言えるツンデレ要素は薄め。 メイジとしての実力はドット以下のゼロ。使い魔ブロント。 好物:クックベリーパイ 趣味:編み物 特技:馬術、リアクション芸人 初期ステータス +... HP MP STR DEX VIT AGI INT MND CHR 短剣 片手剣 片手棍 両手棍 回避 受け流し コモン 火 水 風 土 虚無 F F F F G G E E D F F E E F F 0 0 0 0 0 E
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トレーディングカードゲーム「Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング)」のウルザを召喚 一章「ワールド・シフト」 マジシャン ザ ルイズ 一話「ワールド・シフト」 マジシャン ザ ルイズ 二話「分析+葛藤」 マジシャン ザ ルイズ 三話「錬金術の教示」 マジシャン ザ ルイズ 四話「狂熱の伝染」 マジシャン ザ ルイズ 五話「灰毛の誓い」 マジシャン ザ ルイズ 六話「ハルケギニアの意志ある武具デルフリンガー」 マジシャン ザ ルイズ 七話「破壊」 マジシャン ザ ルイズ 八話「虚無の目覚め」 マジシャン ザ ルイズ 九話「無謀なる特攻」 マジシャン ザ ルイズ 十話「土くれのゴーレム」 マジシャン ザ ルイズ 十一話「力の解放」 マジシャン ザ ルイズ 十二話「上天の月光」 二章「ルイズ ザ サーガ」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (1)「堅牢なる監獄チェルノボーグ」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (2)「ウルザの怒り」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (3)「水のルビー」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (4)「霊的直感」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (5)「海無き港町ラ・ロシェール」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (6) 「行き過ぎた模擬戦」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (7)「天才の霊感」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (8)「空賊船」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (9)「罪の自覚」 マジシャン ザ ルイズ 2章 (10)「超肉弾戦」 三章「ブロージット」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (1)「死者再生」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (2)「心の傷」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (3)「始祖の祈祷書」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (4)「聖なる教示」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (5)「あなたもわたしも」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (6)「決死の一撃」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (7)「王の遺言」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (8)「轟くときの声」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (9)「イゼット・エンジン」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (10)「滅び」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (11)「帰還」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (12)「復讐の連鎖」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (13)「術師の幻視」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (14)「飛翔艦ウェザーライトⅡ」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (15)「速やかなる反撃」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (16)「空中戦闘」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (17)「船酔い」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (18)「操舵」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (19)「白炎の紅蓮傭兵魔術師メンヌヴィル」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (20)「プレインズウォーカーの狂気」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (21)「爆発」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (22)「ウルザの時計」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (23)「トリステインのアカデミー」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (24)「女王の召集」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (25)「正気か否か」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (26)「ゲット・ア・チャンス」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (27)「円卓」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (28)「モット伯爵の好意」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (29)「トリステインの女王アンリエッタ」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (30)「凍える月」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (31)「病蝕」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (32)「名誉の道行き」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (33)「隠れたる死霊」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (34)「ガリアの地下牢」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (35)「風破」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (36)「転機」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (37)「ガリアの女王イザベラ」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (38)「女王の粛正」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (39)「病魔の進行」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (40)「悲哀の歌」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (41)「摩耗したパワーストーン」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (42)「ザルファーの青」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (43)「激突の報奨」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (44)「壮麗な宮殿」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (45)「口論」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (46)「破滅的な過ち」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (47)「マナ接続」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (48)「戦いの火」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (49)「意志力」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (50)「炎首のハイドラ」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (51)「冥界の門」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (52)「ウルザの意思」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (53)「ウルザの砲台」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (54)「虚空の大穴」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (55)「英雄的な行為」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (56)「運命の交差」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (57)「シュペー卿の剣」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (58)「うつろう虚無魔導師」 マジシャン ザ ルイズ 3章 (59)「炎蛇の教示者」 説明 ファイレクシアの闘技場で首切られた直後のウルザをサモン。 お話の背景にあるのはMagic the Gatheringのエキスパンション。 「アンティキティー」「ウェザーライト」 「テンペスト・ブロック」 「ウルザ・ブロック」 「マスクス・ブロック」 「インベイジョン・ブロック」 「時のらせん・ブロック」 基本的に次元の混乱だと思ってくらさい。 外見は http //ww2.wizards.com/gatherer/CardDetails.aspx??set=Exodus name=Mind_Over_Matter ver=1 http //ww2.wizards.com/gatherer/CardDetails.aspx??set=Planeshift name=Urza s_Guilt ver=1 http //ww2.wizards.com/gatherer/CardDetails.aspx??set=Apocalypse name=Death_Grasp ver=1 Magic the Gathering関係用語の解説
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「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに、答えなさいっ!!」 数十回の使い魔召喚に失敗し、ヤケッパチ気味にルイズが叫ぶ。 その、ある意味高望み過ぎる内容に周囲の同級生は「おいおい」と思ったとか思わなかったとか。 だが、神か仏かブリミルにか、彼女の願いは聞き届けられたのだった。 宇宙の果てのどこかにいる神聖で美しく強力な「なにか」の前に、召喚のゲートは開いたのである。 ★★★★ 異次元空間に浮かぶ壮麗にして典雅なる白亜の城の、丹精に手入れされた中庭。 そこで『世界の守護者』アンゼロットは日課である午後の紅茶の時間を楽しんでいた。 見た目は12歳程度の美少女に見える。 黒いドレスに映えるどこまでも白い肌。月光を束ねて銀糸にしたかのような流れる髪。 同じく銀色の瞳が、世界の行く末を思ってか儚く潤んでいた。 ふうっ―――と小さくため息をつけば、少女の手の中でユラユラと揺れるダージリンティーの水面。 お茶請けは配下のロンギヌス特別茶菓子班が泣きながら焼いたお煎餅。 紅茶にセンベイ合わすなよというツッコミも涼しげに無視して、外見銀髪少女の大年増は優雅にセンベイ食う。 バリンバリンバリバリバリバリバリリッ――ふう、やはり紅茶のお供はノリ煎餅ですわね――ってなカンジで優雅に。 そんな彼女の前に、突然銀色の円盤が現われた。 ここは腐っても、精鋭部隊ロンギヌスが守る正義の砦アンゼロット宮殿。 シナリオの都合でさえなければ簡単に危険な異物や敵の侵入を許す場所では無いのに、その円盤は平然と宮殿の主である少女の側に浮かんでいた。 レベル∞を誇る世界の守護者アンゼロットは、それが使い魔召喚のための次元ポートである事を瞬時に見抜く。 そして煎餅のカケラほども躊躇も見せず、その中にレースで飾られた黒いドレスに包まれた腕を突っ込んだ。グイっと。 「んー、このへんでしょうかねぇー……っと、コレですわ!」 中でグリグリ手を動かして、ズバッと一本釣りで引き抜いたのはピンクの髪の少女。 いきなり空中に現われた腕に襟首を掴まれて見知らぬ場所に釣れて来られた少女は、驚愕と不安であたりをキョロキョロ見回している。 「なななななななに? なんなのよここ? いったい突然何がおこったのよ!?」 「はーい、落ち着いて下さいルイズさん。私は『世界の守護者』アンゼロット。 今から私がするお願いに、ハイかイエスでお返事して下さいね?」 「へっ?」 「ハルケギニアは世界の敵に狙われています。貴女にはこれから、その敵を倒すために戦ってもらわなければいけません」 「ええっ!?」 「とは言え、今のルイズさんのレベルでは少々心もとないので―――」 今度は何も無い空間にズボッと手を突っ込むアンゼロット。 しばらくグリグリして「えいっ」と引き抜けば制服姿の少年が投げ出され、アンゼロットとルイズの頭上を跳び越し、頭から地面に落とされた。 「ってえなぁ! イキナリ授業中になにしやがんだこのクソ年増!」 ヤバい角度で地面に突っ込んだ男の様子に(なんだか知らないけど生きてるのかしらこの人?)と心配するルイズの前で、 素早く立ち直ってアンゼロットに詰め寄るのは柊蓮司。 一見普通の不良学生だが、その正体は色々下がる不幸学生だ。 以前、使命だと言われて学年が2年生から1年生に下がるという理不尽も体験した事がある。 「まぁまぁ落ち着いて下さい柊さん。まずは紅茶でも飲んでお煎餅でも食べて」 「いやお前煎餅と紅茶の組み合わせはねーだろう普通。まぁもらうけど」 「では紅茶も飲んで落ち着いた所で本題ですが」 「早っ! まだ一口しか飲んでねぇって言うか椅子にも座ってねぇって!」 「使命です。世界の滅びを防ぐために、そこのルイズさんは6レベルまで成長しなければなりません」 柊の剣幕もツッコミも無視して、さっさと使命の説明に入るアンゼロット。馴れた対応だ。 柊の方もそんなアンゼロットには慣れたもので、白いロココ調の上品な椅子をガタガタと引いて、ドカっと行儀悪く座って話を聞く体勢に入った。 「ルイズって言ったか? アンタも座ったらどーだ?」 「えっ、あっ、う……うん」 ちょっと恐い外見の柊に椅子を勧められて、まだ混乱中ながらおずおずと着席するルイズ。 その間にもアンゼロットはマイペースで話を続ける。 「ルイズさんが実戦経験を積み、かつレベルアップしてもらうために柊蓮司さん、 貴方の向かう使命へ彼女を共に連れて行き、そこで一緒に戦ってあげて下さい」 「良いけど、俺とこの子じゃレベルが違いすぎじゃないのか?」 「ご安心を。柊さんが飲んだその紅茶に、ある薬を入れてありますから」 「なっ―――まさか!?」 不吉な言葉に絶句する柊。 以前彼はアンゼロットが紅茶に入れたという薬のせいで、レベルを下げられた事がある。 それなのに同じ手に二度も引っ掛かるあたりが、彼の人の良い所だろう。 「柊さんもルイズさんと同じ1レベルになりましたから、頑張ってレベルアップして下さいね」 にこやかに手を振るアンゼロットの笑顔にヤバイと感じて立ち上がろうとする柊だったが、もう遅い。 突然椅子の下に、底も見えない黒い穴が現われる。 柊と、そしてルイズはそのまま侵魔――エミュレイター――と呼ばれる『世界の敵』が跋扈する戦場へと、次元を超えて落下させられた。 「いってらっしゃーい柊さーん♪」 「コノヤロウ覚えてやがれーっ!!」 「きゃー! なんなのよ、なんだっていうのよー!?」 「ちなみに柊さんが私の事を年増呼ばわりしたので敵のレベルはちょっぴり高めでーす♪」 「うわーっ! しっかり恨んでやがったかー!?」 「はわわわーっ!?」 ドップラー効果と共に遠くなって消える二人の声ってゆーか悲鳴。 何度となく世界を救ったウィザード、下がる男・柊蓮司。 彼は一部事情通の間では『アンゼロットのオモチャ』とも呼ばれているのだった。 ★★★★ その日、ゴーレムが学院を襲っていた。 宝物庫まある階に巨大な拳を打ち込むゴーレムは、30メイルはあろうかという巨大な物だ。 「待ちなさい!」 「……なんだい、アンタは?」 誰もが恐れて逃げ出す巨大ゴーレムの前に立ち塞がったのは、ルイズ・フランソワーズ。 3週間ほど前に行方不明になり、先週突如ボロボロの姿で学院に帰ってきた少女だった。 「魔法も使えないメイジが何の用だい? 世をはかなんでアタシのゴーレムに潰されたいってんなら相談に乗ってやるよ?」 「やれるモンならやってみなさいよ、土くれのフーケ」 「ふん、じゃあお望み通りにしてやるさ!」 ゴーレムの拳がルイズを押し潰した―――かに見えた。 だがルイズは平然とその場に立ったままだ。 彼女の手前数センチで止まった巨大な鋼鉄の拳。当然、それはフーケが止めたのではない。 ルイズの周囲に展開された結界・月衣<カグヤ>。 それは世界そのものが持つ法則を無視して、持ち主を一切の物理法則から守る極小の異世界だ。 「わ、私のゴーレムの拳を防いだ!?」 「……魔法の使えないメイジじゃ、ないわよ」 「なんだって?」 「メイジじゃないって言ったのよ!」 月衣の中から背丈ほどもある長剣を引き抜き、構えるルイズ。 それは≪魔剣使い≫である彼女の力、近接戦用対魔法箒・デルフリンガー。 「……って、俺っち箒扱いかよウイザードの嬢ちゃんよぉ」 「私はウィザード! エミュレイターと戦う、夜闇の魔法使い・ナイトウィザードよ!」 ウィザード業界では、魔力を受けて機動する道具は剣でも銃でも盾でも、果ては宇宙船でも箒なのだからしょうがない。 デルフのぼやきは無視して、ルイズは声高々と宣言した。 ≪魔器開放≫によって真の力を解放したデルフリンガーが輝く。 魔法構造を崩壊させる≪魔力吸収≫の特殊能力が、刃に触れたものから尽く魔力を奪おうと唸りをあげた。 ≪封印されし力≫を解放したルイズの≪虚無の属性≫魔法がその刃に吸収される。 あふれ出るプラーナの力が大地を削って噴き上がり、周囲を黄金の光で照らす。 「ば、ばかな!? なんだいこの力……こんな魔法、わたしは知らない!?」 「受けてみなさい! これが私の召喚した使い魔、世界の守護者から無理矢理与えられた力よ!」 一閃。 ただの一撃で右脇腹から左の肩まで一直線に切り裂かれ、その傷口からボロボロと崩壊してゆくフーケのゴーレム。 自身を構成するための魔力を根こそぎ奪われた結果だった。 「って、召喚してないってゆーかアンタ自分が向こうに召喚されたんじゃんかー!」 「うるさいうるさいうるさーい! エクスプロージョン!」 瞬間、ゴーレムの巨体が大爆発をおこす。 吹き飛ばされたフーケは「あ~れ~」と塀の向こうまで飛ばされていった。 かくしてフーケのたくらみは未然に防がれ、学院の平和はウィザード・ルイズの活躍によって守られた。 「盗賊退治お疲れ様ですルイズさん。ところでまたハルケギニアを揺るがす大事件が」 「ちょ、アンゼロット!? 私は今戦い終わって余韻に浸ってる最中で―――!」 「諦めた方が良いと思うぜ嬢ちゃん。どうせ最後には働かされるんだから」 空間からにょろりと突き出た腕に掴まれて拉致されるルイズとデルフリンガー。 明日はガリアかアルビオンか。アンゼロットにコキ使われるルイズに休息の日は無い。 頑張れルイズ。負けるなルイズ。 いつかハルケギニアを狙う魔王(推定)を倒して、アンゼロットから開放されるその日まで!
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「忍たま乱太郎」の乱太郎・きり丸・しんべえが召喚される話。 ルイズと忍たま-1 ルイズと忍たま-2 ルイズと忍たま-3 ルイズと忍たま-4 ルイズと忍たま-5